映画『パピヨン』は、アンリ・シャリエールの自伝的な小説を基にした実話の映画化作品で、これまでに何度も映画化されてきました。
特に、1973年に公開されたオリジナル版と2017年にリメイクされたバージョンは、多くの映画ファンや評論家の注目を集めてきました。
これらの2つの映画には、どのような違いがあるのでしょうか。
今回は、1973年版と2017年版の『パピヨン』を比較し、どの点が異なるのか、どちらがどのような魅力を持っているのかを徹底解説します。
映画の比較をする際、まずは基本的なあらすじを押さえておくことが大切です。
どちらの映画も無実の罪でフランスの刑務所に収監されたアンリ・シャリエールの物語を描いています。
刑務所内で知り合ったルイ・デガと共に脱獄を目指すのですが、さまざまな困難が彼を待ち受けています。
この基本的なストーリーラインは、どちらの映画でも同じですが、演出やキャラクターの描き方に違いが見られます。
1973年版『パピヨン』の特徴
1973年版の『パピヨン』は、監督フランクリン・J・シャフナーが手掛け、主演はスティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンという名優が務めました。
マックイーンが演じるアンリ・シャリエールは、どこか冷徹で無駄な感情を排除したような人物像が印象的です。
その強い意志と脱獄への執念が映画全体を通じて感じられ、特に脱獄シーンでは緊迫感が漂っています。
また、ダスティン・ホフマンが演じるルイ・デガは、シャリエールとは対照的に、より内向的で知的なキャラクターとして描かれています。
シャリエールにとって知恵と助けを提供する存在であり、二人の絆が物語の中で強く感じられます。
ホフマンのデガは非常に優しく、シャリエールに対して示す献身的な友情は、映画を感動的にしています。
1973年版の『パピヨン』は、シリアスなトーンが特徴であり、シャリエールの過酷な運命に焦点を当てた演出がなされています。
映像も古い時代のものですが、物語の重さを伝えるために効果的に使用されています。
刑務所内の描写やシャリエールの精神的な苦悩がリアルに描かれており、時には息苦しさを感じることもありますが、それが逆に映画の深みを増しています。
2017年版『パピヨン』の特徴
一方、2017年版『パピヨン』は、監督マイケル・ノアーによってリメイクされ、チャーリー・ハナム(シャリエール役)とラミ・マレック(デガ役)が主演を務めています。
2017年版の特徴は、視覚的に非常に洗練されている点です。
現代的な映像技術を駆使し、脱獄シーンや刑務所内の描写が非常にリアルで迫力満点です。
特にシャリエールが脱獄を試みるシーンでは、映像が観客を圧倒し、まるで自分もその場にいるかのような感覚に陥ります。
キャラクター描写においても、2017年版は感情的な要素を強調しており、シャリエールの苦悩や脱獄への強い決意がより深く描かれています。
ハナムのシャリエールは、1973年版よりも人間味があり、感情が豊かに表現されています。
キャラクターは、単なる脱獄者としてではなく、深い内面的な葛藤を持つ人物として描かれており、観客はその心情に共感しやすくなっています。
デガ役のラミ・マレックは、非常に内向的で繊細な演技を見せ、シャリエールとの絆がより強く感じられます。
その演技が、デガというキャラクターに深みを与えており、特にシャリエールを助けるシーンでは、彼の優しさや誠実さが際立っています。
映画『パピヨン』1973年版と2017年版はどこが違う?比較して徹底解説
1973年版の『パピヨン』は、当時の技術を活かして作られた映画であり、シンプルでリアルな演出が特徴です。
そのため、映像に関してはやや古さを感じる部分もありますが、逆にそれが映画の重みやリアル感を増しています。
刑務所の過酷な環境やシャリエールの孤独感、苦悩が非常に伝わってきます。
一方、2017年版は現代の映像技術を駆使し、よりダイナミックで迫力のある演出がされています。
特に脱獄シーンや自然の中でのシーンでは、美しい映像が印象的です。
映像のリアルさや臨場感が非常に高く、観ているとその場にいるような感覚になります。
キャラクターの描き方
1973年版では、シャリエールとデガは非常に強い絆を持ちながらも、どこか冷徹で感情の表現が少ない部分もあります。
シャリエールのキャラクターは非常にストイックで、脱獄を達成するために感情を抑え込むような人物像です。
そのため、映画全体がシリアスで重たい印象を与えます。
2017年版では、シャリエールとデガのキャラクターがより感情的に描かれ、二人の関係がより深く掘り下げられています。
シャリエールは、彼の内面的な葛藤を感じさせる人物として描かれており、観客は彼の成長や心情の変化に共感することができます。
デガもまた、より優しさと知恵を持つ人物として描かれており、彼の誠実さやシャリエールへの友情が非常に感動的です。
音楽と音響
音楽に関して、1973年版はクラシックな雰囲気を持つ音楽が使用されており、シーンごとにその重厚感が引き立ちます。
特にシャリエールが苦境に立たされるシーンでは、音楽が彼の内面的な苦悩をより強調します。
2017年版では、より現代的でドラマチックな音楽が使われており、感情を高めるために効果的に活用されています。
特に脱獄シーンでは、音楽がその緊張感を一層引き立て、観客を映画に引き込む力があります。
映画『パピヨン』1973年版と2017年版どちらのバージョンがオススメ?
1973年版と2017年版、それぞれに異なる魅力があります。
オリジナルの1973年版は、シリアスで冷徹な雰囲気があり、シャリエールの強さや意志が非常に際立っています。
映像が古いため、少しレトロ感がありますが、その時代の映画ならではの良さがあります。
一方、2017年版は、現代的な映像技術と感情的なキャラクター描写が特徴で、観客はシャリエールとデガの絆や心情の変化に深く共感することができます。
映像が美しく、視覚的にも楽しめるので、現代の映画として新たな解釈を楽しむことができるでしょう。
結局のところ、どちらを選ぶかは個人の好みによる部分が大きいですが、両方のバージョンを観ることで、同じ物語でも異なる魅力を感じることができるので、どちらも観てみる価値がある作品です。
まとめ
映画『パピヨン』の1973年版と2017年版には、それぞれ異なる特徴と魅力があります。
1973年版は、スティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンによるシリアスで冷徹な演技が印象的で、シャリエールの意志の強さや苦悩がリアルに描かれています。
映像技術は当時のものですが、その古さが逆に物語の重みを強調しており、刑務所内の過酷な環境が観客に強い印象を与えます。
一方、2017年版は、チャーリー・ハナムとラミ・マレックの感情豊かな演技が光り、シャリエールとデガの絆が深く掘り下げられています。
現代的な映像技術や音響が駆使され、特に脱獄シーンでは迫力と緊張感が増し、観客を引き込む力があります。
感情的な要素が強調され、観客は登場人物の成長や心情の変化に共感しやすくなっています。
どちらの映画も、シャリエールの自由を求める強い意志や友情の絆を描いており、そのテーマは時代を超えて多くの人々に感動を与えるものです。
1973年版のシリアスな雰囲気を好む人にはオリジナル版、より感情的なドラマと現代的な映像を楽しみたい人には2017年版がおすすめです。
両方を観ることで、同じ物語でも異なる解釈ができるので、どちらのバージョンにも一度は触れてみることをおすすめします。
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