実在した株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの回想録をもとにした映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は、金、ドラッグ、欲望が渦巻くウォール街の裏側を赤裸々に描いた作品です。
マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオの黄金コンビによる強烈な演出と、クセのあるキャストたちの演技が見どころです。
この記事では、映画の簡単なあらすじと主要キャストを紹介していきます。
映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」解説
若くして成功を夢見ていたジョーダン・ベルフォートは、ウォール街の証券会社に就職し、株式ブローカーとしてのキャリアをスタートさせます。
最初は真面目に働こうとするものの、周囲に影響されてすぐに金と快楽にのめり込んでいきます。
破天荒な営業スタイルで大金を稼ぎ、仲間とともに会社「ストラットン・オークモント」を立ち上げ、欲望にまみれた日々を送るようになります。
金に物を言わせて豪華な暮らしを手に入れる一方で、脱税、マネーロンダリング、薬物依存、不倫と、次第にその生活は崩壊していきます。
FBIの執拗な追及を受け、ついには全てを失うことに。それでも話術ひとつで人々を惹きつける才能は衰えず、服役後はセールスセミナーの講師として再び表舞台に姿を現します。
キャスト紹介
破天荒なストーリーをよりリアルに、そして魅力的に描き出したのが、個性豊かなキャストたちです。
それぞれの演技が見事にキャラクターを体現していて、何度も観たくなる理由のひとつになっています。
レオナルド・ディカプリオ(ジョーダン・ベルフォート役)
圧倒的なエネルギーで主人公を演じたディカプリオ。
天才的な話術と破壊的な私生活の両面を演じ分け、ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞しました。
スコセッシ作品には何度も出演しているだけあって、息の合った演出が炸裂しています。
ジョナ・ヒル(ドニー・エイゾフ役)
ジョーダンの右腕であり、最も近くで栄光と転落を共にした相棒を演じています。
コメディ色の強い役どころながら、徐々に暴走していく様子がリアルで、観ていてゾッとする場面も。
演技力の評価が高まり、アカデミー助演男優賞にもノミネートされました。
マーゴット・ロビー(ナオミ・ラパリア役)
ジョーダンの再婚相手であり、セクシーで芯のあるキャラクターを見事に演じています。
この作品で一気に注目され、ハリウッドを代表する女優の一人へと成長しました。
登場シーンのすべてが印象的で、強烈な存在感を放っています。
マシュー・マコノヒー(マーク・ハンナ役)
序盤で登場する謎多き上司。
奇怪な鼻歌や胸打ちシーンはかなり印象的で、映画を象徴する名場面にもなっています。
出演時間は短いながら、その存在感は絶大です。
映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」あらすじ・ネタバレ
ニューヨークのクイーンズで会計士の両親のもとに生まれたジョーダン・ベルフォートは、特別な才能や人脈もないまま、22歳でウォール街の投資銀行に就職します。
株式ブローカーとしての道を歩み始め、テレサという女性と結婚します。
上司からは成功の秘訣としてドラッグと女性を楽しむことを教えられ、ジョーダンはその教えに従いながら、株式の試験に合格し、正式なブローカーとなります。
ペニー株での成功
しかし、ブラックマンデーと呼ばれる株価大暴落の日に会社が倒産し、ジョーダンは職を失います。
新たな職を探す中で、ペニー株と呼ばれる低価格株を扱う小さな投資会社に再就職します。
巧みな話術と営業力で、クズ同然の株を次々と売りさばき、短期間で莫大な富を築きます。
その成功を目の当たりにした同じマンションの住人、ドニー・アゾフもジョーダンと共に働くことを決意し、二人は新たなビジネスの道を歩み始めます。
ストラットン・オークモント社の設立
ジョーダンとドニーは、ガレージをオフィスとして証券会社「ストラットン・オークモント」を設立します。
仲間たちと共に電話営業を駆使し、次々と取引を成功させ、会社は急成長を遂げます。
26歳にしてジョーダンは自らの会社を持ち、ウォール街での地位を確立します。
彼らの成功はメディアでも取り上げられ、「ウォール街のウルフ」として注目を集めるようになります。
派手な生活とFBIの目
成功を手にしたジョーダンは、派手なパーティーや贅沢な生活を送るようになります。
オフィスではマーチングバンドや売春婦を招いた派手なイベントを開催し、ドラッグやアルコールに溺れる日々を過ごします。
しかし、その派手な生活はFBIの目にも留まり、捜査官デンハムからの監視が始まります。
ジョーダンは違法行為を隠しながらも、さらに富を追求し続けます。
私生活の崩壊
ジョーダンの浮気やドラッグ依存は、妻テレサとの関係を悪化させ、最終的には離婚に至ります。
その後、ナオミという美しい女性と出会い、再婚します。
ナオミとの間には子供も生まれますが、ジョーダンの放蕩生活は続き、家庭内でも問題が絶えません。
次第にエスカレートし、周囲の人々との関係も悪化していきます。
違法行為と逮捕
会社の資金をスイスの銀行に隠すなどのマネーロンダリングを行い、違法行為を重ねていたジョーダンは、ついにFBIの手によって逮捕されます。
司法取引に応じることで刑を軽減しようと試みますが、最終的には懲役3年の実刑判決を受け、収監されます。
刑務所内でも彼は持ち前の話術で周囲を魅了し、比較的快適な生活を送ります。
出所後の新たな道
出所後、ジョーダンは自身の経験を活かし、セールストレーニングのセミナーを開催するようになります。
ニュージーランドで行われたセミナーでは、参加者に「このペンを私に売ってみろ」と問いかけ、販売テクニックを指導します。
カリスマ性と話術は健在で、多くの人々が彼のセミナーに集まります。
映画は、ジョーダンが新たな人生を歩み始めるシーンで幕を閉じます。
映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」最後のシーンの解説
映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」最後のシーン解説 映画の最後の場面は、これまでのドラッグ・金・女・違法行為の派手で破滅的な人生とは打って変わって、静かで皮肉の効いた印象を残すシーンです。
刑務所での服役を終えたジョーダン・ベルフォートは、過去の罪をある程度償い、ニュージーランドでセールスのセミナー講師として活動しています。
かつてはウォール街で何百億という金を動かしていた男が、今は講義室の前で聴衆に向けて一つの質問を投げかけます。
「このペンを私に売ってみてくれ」 この言葉は、映画を通して何度も登場してきた、彼のセールスマンとしての象徴的なフレーズです。
最初にこのフレーズが登場したのは、彼がまだ成功の絶頂にいた頃。
部下に同じ質問をし、その答えで営業力を試していました。
でもこのラストの場面では、その意味合いが少し違って見えてきます。 客席にいる受講者たちは、彼の言葉に対して戸惑いながらも、なんとかペンを売ろうと口を開きます。
ジョーダンはじっと彼らの様子を見つめています。
その視線は、かつてのような野心や支配欲ではなく、どこか冷静で、少し寂しさを帯びたものにも見えます。
ラストの意味
このラストの意味は、ただ彼がセールストークを教えているだけではなく、「物を売る」という行為を通して、自分が今どこにいて、何を失い、何を得たのかを見つめ直す場面でもあると感じました。
ジョーダンは相変わらず巧みに人の心を操るスキルを持っていて、話術に引き込まれる人たちは今でも多く存在します。
だけど、そこには以前のような狂気やスリルはなく、ただ“セールスのカリスマ”としての残り火を頼りに生きている印象もあります。
そして観ている側に問いかけるような終わり方でもあるんですよね。
「このペンを売ってみろ」というのは、単なるセールストレーニングの問いではなく、自分には何が売れるのか、何で人の心を動かせるのかという、自分自身の価値を試される問いかけにも感じられます。
エンタメ性が高い作品なのに、このラストで一気に現実に引き戻されたような感覚がありました。
あれだけの金や権力を手にした先に、結局何が残るのか。
ある意味とても静かな、でも深く印象に残る終わり方でした。
映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」感想
映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を初めて観たとき、率直に言って、ものすごい衝撃を受けました。
3時間って聞いて長いな~と思ってたけど、まったく退屈しないどころか、あっという間に終わった感覚でした。
一番印象に残ってるのは、レオナルド・ディカプリオのテンションがとにかくぶっ飛んでるところ。怒鳴るわ叫ぶわ踊るわ、薬でラリって階段から転げ落ちるシーンなんか、爆笑しながらも「ここまでやるか?」って驚きました。
でも、ただのギャグじゃなくて、彼の狂気とか、崩れていく人生がちゃんと見えてくるからすごいなって思いました。
マーゴット・ロビーが演じたナオミも印象的でした。
ただの綺麗な奥さん役じゃなくて、めちゃくちゃ芯が強くて、自分をしっかり持ってる感じがしてかっこよかったです。
あとジョナ・ヒルのクセ強キャラも笑ったけど、だんだん「これほんとに現実であったの?」ってゾッとしました。
全体的に、ただの金持ちサクセスストーリーじゃなくて、栄光の裏にある破滅のスピード感というか、調子に乗ると人はここまで堕ちるのかっていう怖さもありました。
でも、そういう描き方がどこかエンタメとしてうまくできていて、不思議と中毒性のある映画でした。
観終わった後に残るのは、「あの人、今どうしてるんだろう?」っていう妙な興味と、「自分だったらこういう誘惑に勝てるのか…?」っていう自問自答。
何より、あの最後の「このペンを売ってみて」ってシーン。あれ、ずーっと頭に残ってます。シンプルな問いなのに、すごく深い。
正直、何度も観たくなる映画でした。テンポも演出も抜群で、笑って、驚いて、ちょっと考えさせられる。
観た後に誰かと語りたくなる作品です。
もしまだ観てないなら、ほんとにおすすめです。
まとめ
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は、ただのバブリーなサクセスストーリーではなく、欲望に飲み込まれていく人間の本性を見せつけられるような、非常に濃密なエンタメ作品です。
キャストの演技も見応えがあり、3時間近くある上映時間もあっという間に感じます。
まだ観ていないなら、ぜひ一度チェックしてみてください。観た後はきっと、あの「このペンを売ってみろ」の意味がずっと頭に残るはずです。
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