映画「ゲティ家の身代金」は、1973年に実際に起きたジョン・ポール・ゲティ三世の誘拐事件を基にした作品です。
実際の事件の内容を基にしながらも、映画ならではの演出が施されています。
今回は、映画と実話の結末の違いについて、あらすじやネタバレも交えて紹介します。
映画「ゲティ家の身代金」のあらすじ
映画「ゲティ家の身代金」は、実際に起きた誘拐事件を描いています。
1973年、16歳のジョン・ポール・ゲティ三世(ポール)は、イタリアのローマで誘拐されます。
ポールの祖父であり、当時世界一の大富豪とされていたジャン・ポール・ゲティは、孫が誘拐されたことを知っても、金銭的な負担を嫌い、身代金を支払うことに反対します。
ポールの母であるアビゲイルは、ポールを救うために必死に動きますが、ゲティは身代金の支払いを拒否します。
そのため、アビゲイルは元アメリカ政府の諜報員であり、ゲティのアドバイザーでもあるフレッチャー・チェイスと協力して、誘拐犯との交渉に乗り出します。
映画は、アビゲイルがどのようにしてポールを救おうとするのか、そしてゲティがどれほど冷徹な人物であるかを描きつつ、ポールを取り戻すまでのドラマを描き出します。
最終的に、ゲティは孫を救うために身代金を払うことになりますが、その背後には複雑な感情や家族の問題が絡んでいます。
映画「ゲティ家の身代金」実話の結末との違い!
映画では、ジョン・ポール・ゲティ三世が無事に救出され、アビゲイルとの再会が描かれます。し
かし、実際の事件では、映画とは異なる結末を迎えました。
実話の結末と映画の描写にどのような違いがあったのかについて見ていきます。
ゲティの金銭に対する冷徹な態度
映画では、ゲティがポールの命を救うために最終的に身代金を払うシーンが描かれます。
実際の事件でも、ゲティは身代金の支払いを非常に渋り、最初は全く支払うつもりがありませんでした。
しかし、映画ではゲティが最終的に支払いを決断するシーンがクライマックスとなりますが、実際にはゲティが息子であるポールを救うための身代金支払いに応じるまで、かなり長い時間がかかったと言われています。
実際の事件では、ゲティが身代金を支払うことに非常に消極的だったことが伝えられています。
冷徹な金銭感覚は、映画でも強調されていますが、実際にはその意志が貫かれた期間がもっと長かったことがわかります。
映画では、ゲティが比較的早く支払う決断をするように描かれていますが、実際の交渉はもっと時間がかかりました。
実際のポールの解放とその後
映画では、ポールが犯人たちに解放され、アビゲイルとの再会が描かれます。
しかし、実際の事件では、ポールの解放が映画よりも複雑で、長期間にわたる交渉が続きました。
映画ではポールが解放された後、アビゲイルと再会し、警察の手助けで犯人グループが逮捕されるシーンが描かれています。
実際には、ポールは解放される直前に耳を切り取られ、その写真がアビゲイルに送られました。
これは映画でも描かれていますが、映画ではその後の解放が比較的すぐに描かれています。
しかし、実際にはポールが解放された後も、彼の心の中での苦しみや、再び安全を確保するための過程は、もっと時間を要したことが分かっています。
ゲティの遺産とその後の展開
映画の最後では、ゲティが亡くなるシーンが描かれます。
ゲティが死後、アビゲイルが遺産を巡る交渉をするシーンも描かれます。
実際の事件後、アビゲイルはゲティの遺産を巡る戦いを繰り広げ、最終的にはゲティ家の財産に関する法的な問題が続きました。
映画ではその後のアビゲイルの苦悩が描かれていますが、実際にはゲティの遺産相続に関してさらに多くの法的な争いが続いたことが報じられています。
ゲティの遺産に関しては、映画では比較的簡潔に描かれていますが、実際にはその相続問題は非常に複雑であり、アビゲイルがその後も大きな困難に直面したことが知られています。
映画での描写とは異なり、実際にはアビゲイルがゲティの遺産を手に入れるまでに時間がかかり、家族の中でもその相続を巡る争いが続きました。
映画の演出と実際の事件の影響
映画「ゲティ家の身代金」では、実際の事件の詳細を元にしてドラマが展開されますが、映画としての演出が多く加えられています。
実際の事件の冷徹な金銭感覚や、家族関係の複雑さが反映されていますが、映画の中ではそれが強調されすぎている部分もあります。
実際の事件では、ゲティが本当に冷徹な人物だったかどうかは議論の余地があります。
映画ではその冷徹さが際立っていますが、ゲティが家族をどれほど重視していたのかは、もう少し違った側面があったかもしれません。
映画の演出は、実際の事件に対する感情的な反応を引き出すことを目的としているため、実際のゲティの人物像を正確に再現することが必ずしも重視されていない部分もあります。
映画「ゲティ家の身代金」ネタバレ感想
映画「ゲティ家の身代金」を見て、最初に感じたのは、冷徹なお金の力と、それに反して必死に息子を救おうとする母親の強い意志の対比でした。
特に、ジャン・ポール・ゲティが息子の命を救うために身代金を支払うのを拒んだ場面が強烈で、ちょっと驚きました。
お金がすべてだと思っていたゲティの姿が、ある意味、現代の資本主義社会を象徴しているようにも感じました。
アビゲイルが息子を取り戻すためにどれだけ必死に戦ったか、それに対してゲティが冷淡で、最初は本当に心が痛みました。
あんなにお金を持っているのに、孫の命よりも金銭的な損得を優先する姿勢には、さすがに共感できませんでした。
映画の中で、ゲティがやっと身代金を支払う場面では「やっとか…」と思ったものの、心から納得できるような感情にはなれませんでした。
ポールが解放されるシーンも感動的でしたが、実際にその後の心の傷や家族間の亀裂を思うと、ただ喜ぶだけでは済まされない気がしました。
映画のラストでアビゲイルがゲティの遺産を巡る争いに直面するシーンが描かれていますが、遺産相続の問題って、実際にもこんな感じで複雑なんだろうなと思いました。
金銭的な問題が絡むと、家族の絆も壊れやすくなるということを痛感しました。
映画の描写がリアルでありながらも、感情を引き出すような作りになっていて、見終わった後に「お金と家族の問題」について考えさせられました。
何より、母親の愛がどれほど強いものなのか、それを見事に表現していた映画だと思います。
ポールが無事に帰還することができて、最終的には救われたように見えますが、彼の心の傷がどうなるのかは、映画の中では描かれなかった部分もあり、そこも気になった点です。
ゲティ家の冷徹さや、アビゲイルの戦いを通して、現実の厳しさがよく描かれていたと思います。
金銭的な力を持っている人々がどれほどまでに冷徹になれるのか、そして一方で必死に戦う母親の愛がどれほど強いか、改めて感じさせられました。
まとめ
映画「ゲティ家の身代金」は、実際に起きた事件を元にしているため、非常に衝撃的で感情的な内容が多く含まれています。
しかし、映画は実話を基にしたフィクションであり、実際の事件とは異なる部分もあります。
映画と実際の事件の違いを知ることで、物語がより深く理解できるかもしれません。
個人的に、この映画を見た後に感じたことは、どれだけお金があっても、人間関係や命の大切さが一番重要だということです。
ゲティ家の冷徹さとアビゲイルの母としての決断力が対照的に描かれていますが、実際の事件でも、お金の力がどれだけ家族に影響を与えたかは想像以上だったことでしょう。
映画を通して、その複雑な感情の交錯を感じ取ることができました。
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