1930年代のアメリカを駆け抜けた伝説的な銀行強盗、ジョン・デリンジャー。
その名は今でもアウトローの象徴として語り継がれています。
映画『パブリック・エネミーズ』は、そんな実在の人物を描いたノンフィクション作品であり、波乱に満ちた人生と、当時まだ誕生したばかりのFBIとの激しい攻防を描いた重厚なドラマです。
ジョニー・デップが冷酷さと哀愁を絶妙に演じ切り、観る者にただの犯罪映画では終わらせない深い余韻を残します。
この記事では、映画の概要からストーリーの詳しいネタバレまで、実際に鑑賞した体験も交えながら、徹底的にご紹介していきます。
視聴を迷っている方にも、観終えた後に余韻を振り返りたい方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。
映画「パブリック・エネミーズ」解説
『パブリック・エネミーズ』(原題:Public Enemies)は、2009年に公開されたアメリカの犯罪ドラマ映画です。
監督は『ヒート』や『インサイダー』などで知られるマイケル・マン。
1930年代のアメリカを舞台に、実在の銀行強盗ジョン・デリンジャーの最後の数年間を描いています。
当時、アメリカは大恐慌の真っ只中。
金融機関や国家への不満が高まる中で、ジョン・デリンジャーは金持ちから金を奪い庶民には危害を加えないというスタンスから、ある種のヒーロー的存在として見られていました。
一方、政府は犯罪取締りの強化を急いでおり、連邦捜査局(のちのFBI)の発足とともに、デリンジャーは「国家の敵=パブリック・エネミー」としてその象徴になっていきます。
映画は、ジョン・デリンジャーの逃亡劇と、彼を追う若きFBI捜査官メルヴィン・パーヴィスとの攻防を軸に、恋人ビリー・フレシェットとの関係、人間関係の裏切り、そして最期の瞬間までを濃密に描いています。
史実をベースにしつつ、フィクション的な演出も加わり、犯罪映画でありながら静かな余韻を残す作品となっています。
撮影にはハンドヘルドのデジタルカメラが多用されており、臨場感とドキュメンタリーのような質感が特徴です。
クラシックな時代背景と現代的な映像技法が融合した、独特な世界観に引き込まれる作品です。
キャスト紹介
ジョン・デリンジャー(演:ジョニー・デップ)
本作の主人公で、実在した伝説の銀行強盗です。
大胆な行動力とカリスマ性を持ち、民衆の間では“アウトローの英雄”のように見られていました。
ジョニー・デップがクールさと哀愁をにじませながら演じています。
ビリー・フレシェット(演:マリオン・コティヤール)
ジョン・デリンジャーの恋人で、彼の逃亡生活に寄り添い続けた女性です。
気品と芯の強さを併せ持つ役どころを、フランス人女優マリオン・コティヤールが演じ、静かな存在感を放っています。
メルヴィン・パーヴィス(演:クリスチャン・ベール)
FBI捜査官としてジョン・デリンジャーの追跡を指揮した人物です。
若くしてその地位に就きながら、正義と職務の間で葛藤する姿が描かれます。
演じるのは『ダークナイト』シリーズなどで知られるクリスチャン・ベールです。
ジョン・レッド・ハミルトン(演:ジェイソン・クラーク)
デリンジャーの信頼の厚い仲間で、冷静な判断力を持つ男です。
ジェイソン・クラークが骨太な演技で脇を固めています。
ハリー・ピート・ピアポント(演:デビッド・ウェナム)
脱獄や銀行強盗を共にする初期メンバーのひとりで、荒々しい気質を持ったキャラクターです。
デビッド・ウェナムが演じています。
ベビーフェイス・ネルソン(演:スティーヴン・グレアム)
実在のギャングで、極めて暴力的な行動をとる危険人物として登場します。
スティーヴン・グレアムがその狂気を鮮烈に表現しています。
映画「パブリック・エネミーズ」あらすじ・ネタバレ
ジョン・デリンジャーは1930年代のアメリカで銀行強盗を繰り返していた人物です。
大胆かつ素早い手口で金を奪い、民衆からは貧富の差を突くアウトローとして、ある種の人気も得ていました。
物語の序盤、刑務所に収監されていた仲間たちを脱獄させる計画が実行されます。
この作戦は見事に成功し、仲間の一部を失いながらも脱出に成功しました。
デリンジャー一味はそのまま隠れ家に逃げ込み、再び銀行を狙って活動を続けていきます。
FBIによる追跡とビリーとの出会い
そんな中で、FBI内部にデリンジャー逮捕のための特別チームが設立されます。
リーダーとして任命されたのが若き捜査官メルヴィン・パーヴィスです。
パーヴィスは容赦のない手腕で、連邦レベルの捜査を進めていきます。
その一方で、デリンジャーはある日ナイトクラブでビリー・フレシェットという女性と出会います。
互いに強く惹かれあい、ほどなくして関係は深まっていきます。
ビリーに対して、デリンジャーは本名も過去も隠さずに接します。
生涯のパートナーになると信じていたのでしょう。
一時の逮捕と再び始まる逃亡生活
捜査が進む中、デリンジャーはついに逮捕されてしまいます。
場所は競馬場で、ビリーと共に過ごしていたところをFBIに囲まれたのです。
しかしここで終わらないのがデリンジャーです。
優秀な弁護士を雇い、法の隙間を突いて脱獄を図ります。
この脱獄も成功に終わり、再び表舞台に姿を現しますが、状況は変わっていました。
かつて信頼していた仲間たちの一部からは距離を置かれ、古い隠れ家も使えなくなっていたのです。
裏切りと仲間たちの死
孤立を深めながらも、デリンジャーは新たな銀行を襲撃しますが、その作戦中に捕まった仲間のひとりが拷問を受けてアジトの場所を漏らしてしまいます。
情報をもとにFBIが突入し、激しい銃撃戦が始まります。
デリンジャーの仲間たちは次々に倒れ、残されたのはデリンジャーただひとりとなってしまいました。
この時点で彼の逃亡劇はもはや限界を迎えていたのです。
恋人ビリーの逮捕とデリンジャー包囲網
さらに追い打ちをかけるように、FBIはビリー・フレシェットを逮捕します。
尋問は過酷でしたが、どれだけ問い詰められても情報を漏らすことはありませんでした。
FBIは他の女性たち、アンナやポリーにも接触し、金や脅迫によって協力を取りつけます。
そこから得た情報をもとに、捜査官たちはデリンジャーの動向を細かく追い、ついにある夜、シカゴにある「バイオグラフ・シアター」での目撃情報を掴みます。
最期の瞬間、そして伝説へ
1934年7月22日。
映画を観終えたデリンジャーが劇場の扉をくぐった瞬間、待ち構えていたFBI捜査官たちに取り囲まれます。
パーヴィスの指示で銃撃が開始され、デリンジャーはその場で致命傷を負います。
倒れた彼は、最期にビリーへの伝言として「彼女には何も言うな」と小声でつぶやいたといわれています。
その死は新聞の一面を飾り、アメリカ全土に衝撃を与えました。
FBIの威信は高まり、犯罪取締の象徴としての地位を確立していきます。
一方、ジョン・デリンジャーという人物は、ただの犯罪者ではなく、ひとりの時代の象徴として、今なお語り継がれています。
映画「パブリック・エネミーズ」感想
観終わったあと、なんとも言えない余韻がじんわりと残りました。正直、「派手なアクション映画」だと思って観始めたんですが、実際はもっと静かで、しぶくて、どこか儚い空気が流れていました。ドンパチがメインというより、人物の心の動きや人間関係の切なさがじわじわと胸にくるような作品だったと思います。
まず、ジョニー・デップの演技がすごくよかったです。ギャングっていうと、もっと荒々しいイメージを持っていたんですけど、この映画のデリンジャーは冷静で、気品すらあるというか。もちろん非合法なことをしているわけで、正義の味方ってわけではないけれど、それでもどこか憎めない雰囲気があるんですよね。たぶん、金持ちから金を奪って庶民を巻き込まないっていう姿勢が、当時のアメリカで彼を“ヒーロー”っぽく見せたんじゃないかなと思います。
あと印象に残ったのは、ビリーとの関係。お互いに多くを語らないんだけど、すごく強い絆があるように見えました。会話の中で「君がほしい」と彼女に言うシーンがあるんですが、あそこはちょっとグッときてしまいました。ギャング映画の中でああいう静かな愛情表現があると、逆にリアルに感じるんですよね。
パーヴィス捜査官の視点も良かったです。ただの「追う側」ではなく、理想と現実の狭間で揺れながら職務をまっとうしようとする姿が描かれていて、彼にも感情移入できました。特に、仲間を次々に失っていくくだりは切なかったです。悪と正義の境界がどこにあるのか、簡単には言い切れない。そんな曖昧な部分に、マイケル・マン監督の人間くささが出ていた気がします。
ただ、テンポがゆっくりめなので、派手な展開を期待するとちょっと退屈に感じるかもしれません。私も最初は「静かだな…」と思ってたんですが、観進めていくうちに、この落ち着いたトーンがむしろ心地よくなっていきました。照明や撮影の感じも独特で、まるで当時の写真の中に自分が入り込んでしまったかのような感覚になります。
結末についても、あえて盛り上げすぎず、現実的に描いていたのが逆によかったです。英雄としても犯罪者としても、どこか孤独だったデリンジャー。最後の瞬間まで、誇りを失わなかった姿には、観ていてちょっと胸が熱くなりました。
この作品は、いわゆる“わかりやすい感動”を求めている人には不向きかもしれません。でも、人間の内面や、時代に翻弄される人々の姿にじっくり浸りたい人にはおすすめです。私にとっては、何度も繰り返し観たくなるタイプの映画ではないけれど、しっかり心に残る1本でした。
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まとめ
映画『パブリック・エネミーズ』は、1930年代のアメリカを舞台に、伝説的な銀行強盗ジョン・デリンジャーの人生と、その追跡劇を描いた作品です。
ジョニー・デップがデリンジャーを演じ、クールで哀愁漂う姿が印象的。
マイケル・マン監督のもと、リアルで緊迫感のある演出が光ります。
ストーリーは、ジョン・デリンジャーの銀行強盗の手口や脱獄劇、そして彼を追い詰めるFBI捜査官メルヴィン・パーヴィスとの激しい対決を中心に展開。
ジョンの仲間や恋人との関係が描かれ、最終的には彼の悲劇的な結末に繋がります。
アクションがメインの映画かと思いきや、静かなドラマと人物描写がしっかりと描かれ、観る者に強い印象を与えます。
ジョニー・デップの演技に感動し、映画全体の雰囲気に心を奪われました。
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