映画『WILD CARD/ワイルドカード』は、2014年に公開されたアメリカのクライム・アクション映画で、監督は『コン・エアー』や『エクスペンダブルズ2』のサイモン・ウェストが務めました。
この映画は、ウィリアム・ゴールドマンの小説『HEAT』を基にした1986年公開の『ビッグ・ヒート』のリメイク作品で、ジェイソン・ステイサムが主演しています。
彼が演じるのは、落ちぶれた元特殊部隊の兵士、ニック・ワイルド。
映画は、ニックが自分を取り戻すためにどのようにして裏社会との抗争に突き進んでいくのかを描いており、アクションやサスペンスが満載です。
映画「WILD CARD/ワイルドカード」あらすじ・ネタバレ
映画の冒頭では、ニック・ワイルドの生活が描かれています。
かつては特殊部隊で活躍していたエリート兵士であったニックですが、今ではラスベガスの裏社会で用心棒として生計を立てています。
生活は、酒とギャンブルに明け暮れ、過去の栄光を忘れられずに日々を送る不安定なものです。
彼の夢は、コルシカ島に移住して新しい人生を始めること。
しかし、そのためには相当な額の大金が必要で、彼はそのためにギャンブルを繰り返すものの、なかなか成功には恵まれません。
そんなある日、ニックの元恋人であるホリー(ドミニク・ガルシア=ロリド)が彼のもとを訪れます。
ホリーは現在、娼婦として生きており、深い傷を抱えていました。
数人の男たちに暴行され、心身ともに壊れてしまっていました。
ホリーは、ニックに復讐を依頼します。
彼女が暴行した男たちは、ラスベガスの裏社会で影響力を持つイタリアン・マフィアの道楽息子、ダニー・デマルコ(マイロ・ヴィンティミリア)とその仲間たちだったのです。
ニックは、最初はこの依頼を躊躇しますが、最終的にホリーの頼みを聞き入れ、復讐を決意します。
ニックはホリーと共に、ダニー・デマルコが滞在するホテルに忍び込むことに。
ホテルのボディガードたちをあっさりと制圧し、ついにダニーに対面します。
ホリーは、ダニーに対して恐ろしい復讐をしようとしますが、最終的にはダニーから5万ドルを奪う形で決着をつけます。
このお金でホリーはラスベガスを去り、ニックはその後、ホリーとの関係を終わらせることになります。
出会いと新たな仕事
次に、ニックはサイラス・キニック(マイケル・アンガラノ)という金持ちの若者と出会います。
サイラスは、ニックに用心棒として働くよう頼み、彼はその仕事を引き受けることになります。
サイラスは、ギャンブルに興味を持ち、ニックにカジノへ行こうと誘います。
ニックは、サイラスと共にカジノに出かけます。
そこでニックは、ホリーから奪った5万ドルを賭けてブラックジャックに挑戦。
見事、2万5千ドルを倍にして50万6千ドルを手に入れることに成功します。
しかし、ニックはまだコルシカ島移住のための目標金額に届いていないと考え、さらに欲をかいてすべての金額を再び賭けに使ってしまいます。
結果として、ニックは一瞬で全額を失い、無一文になってしまいます。
この時、ニックはギャンブル依存症の深刻さに直面し、同時に彼の過去の栄光や現在の挫折感に対する悩みが表面化していきます。
その後、ニックのギャンブル依存症を知ったサイラスは、彼に報酬として50万ドルとコルシカ島への航空券、そしてヨットを提供してくれます。
この優しさに触れたニックは、再び自分を取り戻し、コルシカ島に移住する決意を固めます。
しかし、まだ完全に過去の自分を乗り越えたわけではありません。
復讐と激闘
ここから物語は急展開を迎えます。ニックがサイラスと一緒に過ごしていると、デマルコが再び姿を現します。
デマルコは、ニックに対する復讐心から手下を引き連れてカジノに現れますが、ここでベイビー(スタンリー・トゥッチ)というラスベガスを牛耳る別のマフィアのボスが登場し、仲裁に入ります。
ベイビーは、デマルコの暴走を許さず、事態を収拾しますが、デマルコはますます逆上し、再びニックに立ち向かってきます。
ニックは、再び自分を試されることになります。
彼はこれまでにも数多くの危機を乗り越えてきましたが、今度は一人で立ち向かわなければならない状況に追い込まれます。
再びニックとデマルコの手下たちが激闘を繰り広げることになりますが、今回のニックは冷静に戦い、最後にはスプーンやバターナイフといった身近な物を武器にし、圧倒的な強さを見せつけます。
結末
最終的に、ニックはデマルコとその手下を壊滅させることに成功します。
全てが終わり、ニックはようやく自由を手に入れます。
ラスベガスを離れ、ついにコルシカ島への旅立ちを決意します。
ニックが自分の過去と向き合い、ギャンブル依存症から脱却する姿を見て、観客は彼の新たな一歩を応援したくなります。
映画「WILD CARD/ワイルドカード」つまらないと言う声
映画『WILD CARD/ワイルドカード』は、アクション映画として注目されたものの、公開当初からいくつかの批評家や観客から「つまらない」と感じられた意見も存在しました。
これにはいくつかの理由がありますので、主な批評を紹介します。
物語のテンポが遅い
『ワイルドカード』に対する批判の一つは、映画全体のテンポが遅いという点です。
アクション映画として期待されるスリルや緊張感が欠けていると感じる人も多かったようです。
特に前半はニック・ワイルドの内面や過去に焦点を当てた描写が多く、ストーリーが進展しないことに退屈さを感じる観客もいたようです。
多くのアクション映画では、序盤から盛り上がる展開が求められますが、本作では静かなシーンが多く、期待に応えられていないという声がありました。
キャラクターの魅力不足
主人公のニック・ワイルドはジェイソン・ステイサムが演じているものの、彼のキャラクターに感情移入できないという意見も多かったです。
彼が過去の痛みやギャンブル依存症と向き合っているものの、十分に深く描かれていないと感じる観客も。
ステイサムのアクションスターとしての魅力は感じられるものの、キャラクターとしての成長があまりにも唐突で、観客に感情的な共鳴を生むには至らなかったとする批評もあります。
アクションシーンの少なさ
ジェイソン・ステイサム主演ということで、アクションシーンに大きな期待を寄せていた観客にとっては、思ったよりもアクションが少ないと感じられた点も批判されています。
ステイサムが繰り広げる戦闘シーンはあるものの、期待していたようなド派手なアクションやバトルが少なく、代わりにキャラクターの内面描写や人間ドラマに時間が費やされているため、アクション映画としての興奮を求めていた人々には物足りなく感じられたようです。
ストーリーの予測可能性
映画の展開が予測できてしまうという点も批判されています。
ニック・ワイルドが過去の痛みを乗り越え、自己改革を果たすという筋書き自体はよくあるものであり、観客にとって新鮮味が欠けていると感じることがありました。
特に、サスペンスやサプライズを求める人々にとっては、物語が平凡であり、最後の結末が予想通りであると感じる点が、映画の魅力を薄れさせたという意見がありました。
サイドキャラクターの深みの欠如
映画に登場するサイドキャラクター、特にニックの元恋人ホリーやサイラスなどは、物語の中で重要な役割を果たしていますが、そのキャラクターに十分な深みが感じられないという声もありました。
彼らのバックストーリーや動機が薄く、視覚的には印象的でも感情的に共感しにくいといった批判が多く見られました。
監督と脚本の問題
監督サイモン・ウェストと脚本が期待外れだという意見もありました。
『コン・エアー』や『エクスペンダブルズ2』などの過去の作品では高い評価を受けたウェスト監督ですが、本作ではストーリーテリングやキャラクターの描写において力不足を感じさせる場面がありました。
脚本も一部では単調であり、シンプルすぎるために感情の起伏やドラマ性に欠けているとされることがありました。
過去の映画との比較
ステイサム主演のアクション映画としては、過去に『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や『トランスポーター』などが高く評価されています。
そのため、ファンが『ワイルドカード』に期待していたものは、それらの作品に見られるようなスピーディでテンションの高いアクションや、キャラクター間の緊迫したやり取りでしたが、結果的に『ワイルドカード』はその期待に応えられなかったという意見もあります。
映画「WILD CARD/ワイルドカード」感想
映画『WILD CARD/ワイルドカード』を観終わった後、正直なところ、少し物足りなさを感じました。
ジェイソン・ステイサムが主演ということで、アクション満載の映画を期待していたのですが、思ったよりも落ち着いた展開で、アクションシーンも限られていました。
アクション映画好きとしては、もっとド派手な戦闘やカーチェイスが見たかったなぁと思いました。
物語自体は、ニック・ワイルド(ジェイソン・ステイサム)が過去の痛みやギャンブル依存症と向き合いながら、再起を目指して奮闘する姿を描いているのですが、どうしてもテンポが遅く感じました。
最初の方はニックの内面の葛藤に時間が割かれていて、アクションが始まるまでに少しだれる部分があったんですよね。
これが「詰まらない」と感じさせる原因なのかもしれません。
それでも、ニックが再び立ち上がるシーンでは、やっぱりステイサムらしいカッコよさが光っていて、特にラストのバトルシーンではその強さを存分に発揮していて、少しスカッとしました。
けれど、その後の決着のつけ方があまりにもあっさりしていて、満足感としては少し不足しているなぁというのが正直な感想です。
また、サイドキャラクターのホリーやサイラスも登場するのですが、彼らのキャラクターが十分に掘り下げられていないと感じました。
ホリーの過去の傷やサイラスの葛藤も、もっと深く描いて欲しかったところです。
彼らの登場がニックの成長にどう影響を与えるのか、もう少し感情移入できる部分があったら、物語全体がもっと魅力的になったんじゃないかと思います。
結局、映画全体としては「ステイサムが主演のアクション映画」という期待にはちょっと応えきれていないなという印象でした。
確かにステイサムは魅力的な俳優で、アクションはもちろん見応えがあるんですが、それ以外の部分、特にストーリーテリングにおいてもう少しドラマチックな展開が欲しかったですね。
とはいえ、アクション映画が好きな人には楽しめる部分もあると思うので、気になる方は一度観てみてもいいかもしれません。
ただ、あまり期待しすぎずに観ることをオススメします。
まとめ
『ワイルドカード』は、ジェイソン・ステイサムの魅力を存分に楽しめるアクション映画でありながら、登場人物の心の葛藤や成長を描いた深い物語が印象的でした。
ギャンブル依存症や裏社会との関わりを描きつつ、最後には自分自身を取り戻し、新たな一歩を踏み出すニックの姿が感動的です。
アクション映画としてだけでなく、ヒューマンドラマとしても非常に楽しめる作品でした。
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