映画『ゾディアック』は、実際に起こった未解決の殺人事件を基にした作品で、観る者を引き込むサスペンスの要素が満載です。
この映画が描いた事件の真相に迫るために、元ネタとなった実際の事件がどこまで本当なのか、また映画と現実の違いについて詳しく見ていきたいと思います。
映画『ゾディアック』は、1970年代にカリフォルニア州で実際に起きた「ゾディアック事件」を題材にしています。
実際に起こった事件と、映画の中で描かれた内容の間にどのような違いがあったのでしょうか。
映画のストーリーを追いながら、実際の事件の真相と照らし合わせてみましょう。
映画『ゾディアック』のあらすじとネタバレ
『ゾディアック』は、1970年代にカリフォルニア州で発生した一連の未解決殺人事件を描いています。
映画の主な舞台はサンフランシスコで、実際に発生した事件に基づいています。
映画は、新聞記者や警察官たちが、ゾディアックという名前の殺人犯を追い詰めていく過程を描いています。
事件が発生するたびに、犯人は警察に手紙を送りつけ、時には暗号を使って自分の犯行を誇示しました。
これらの手紙や暗号が映画の中でも重要な役割を果たし、視覚的に印象深いシーンがいくつかあります。
映画の主人公である新聞記者や刑事たちは、この事件に心を奪われ、執念のように犯人を追い続けます。
しかし、映画は途中で「犯人を特定することができない」という現実に直面するシーンで終わります。
この未解決のまま終わる形は、実際の事件の状況を忠実に再現したものです。
映画『ゾディアック』の元ネタ事件はどこまで本当?
映画『ゾディアック』の元ネタとなったゾディアック事件は、実際に起きた未解決の殺人事件です。
この事件は、1960年代後半から1970年代初頭にかけて、サンフランシスコ湾周辺で起きました。
犯人は「ゾディアック」と名乗り、数回にわたって警察に暗号入りの手紙を送りました。
ゾディアック事件は、殺人を行った犯人が自らその罪を公然と告白し、犯行に関するヒントを提供するという異常な特徴を持っていました。
警察は犯人の追跡を続けたものの、彼を特定することはできませんでした。
映画の中でも、この未解決の事件に対する警察の苦悩と、事件に対するメディアの関心が強調されています。
映画では、特定のキャラクターが事件の真相に迫るものの、実際には犯人を追い詰めることができず、映画のラストシーンで「ゾディアック事件の真相は未解決」と示唆されます。
現実でも、事件は未解決のままであり、その後も多くの捜査が行われましたが、犯人は今も特定されていません。
映画と実際の事件の違い
映画『ゾディアック』は、実際の事件を元にしているものの、いくつかのフィクションが加えられています。
たとえば、映画の中で登場する主人公の新聞記者や刑事たちの人物像は、実際の事件に関与した人物をベースにしたものですが、映画の中ではその人物の個性や行動が多少誇張されています。
また、映画ではいくつかの事件の詳細がドラマティックに描かれていますが、現実の事件ではそれほど具体的に手がかりがなかったことが多いです。
映画では犯人の心理や動機に焦点を当てている場面が多く、視覚的に観客を引き込む演出がされていますが、現実ではゾディアックの動機が不明なままです。
ゾディアック事件の暗号について
ゾディアック事件の最大の特徴の一つは、犯人が送った暗号です。
ゾディアックは犯行を告白する手紙とともに、いくつかの暗号を送ってきました。
その暗号は非常に複雑で、当時の警察や暗号解読の専門家たちは解読に苦しみました。
映画では、この暗号の解読が一つの重要なプロットとなっており、観客にとっても謎解きの要素が魅力的に映ります。
実際、ゾディアックが送った暗号は数十年後に解読されたものもありますが、全ての暗号が解読されたわけではありません。
映画では暗号解読の過程を描いていますが、現実ではその一部しか解けていないという事実を考慮すると、映画はやや誇張している部分もあります。
事件の真相に迫る過程
映画『ゾディアック』は、事件の真相に迫ろうとする登場人物たちの執念を描いています。
特に新聞記者や刑事たちが、執拗に犯人を追い詰めようとする姿が描かれ、観客に強い印象を与えます。
実際、事件を追い続けた捜査員やジャーナリストも多くいましたが、残念ながらそのほとんどは犯人を突き止めることはできませんでした。
映画の中では、いくつかの候補者が犯人として浮かび上がりますが、最終的に犯人を特定することはできませんでした。
現実でも、数多くの容疑者が挙げられましたが、確証を得ることはなく、未解決のままで現在に至っています。
この点について、映画は非常に忠実に再現されており、未解決事件としてのリアリティを強く感じさせます。
実際の事件の後日談
ゾディアック事件の後日談も映画に登場しますが、現実ではその後も事件は長い間未解決のままでした。
事件発生から数十年後、捜査は再び注目を浴びましたが、いまだにゾディアックの正体は判明していません。
映画では、実際に捜査に関わった人物たちがどのように事件に立ち向かったかが描かれ、観客にその悲劇的な結末を強調しています。
映画のエンディングでは、犯人が特定されないまま物語が終わり、現実と同じように「未解決事件」として残ることが示唆されます。
この未解決という形で終わることで、映画はよりリアルに、そして観客に深い印象を与えることができました。
映画『ゾディアック』のネタバレ感想
映画『ゾディアック』を観終わったあと、なんとも言えないモヤモヤした気持ちが残りました。
サスペンス映画は最後に犯人が捕まってスッキリする展開が多いですが、この映画はそうではありません。
むしろ、どこまでも続く迷宮の中に放り込まれたような感覚になりました。
実話をもとにしているからこそ、「本当にこんなことがあったのか…」と背筋がゾクッとしました。
映像の雰囲気がとても良かったです。
フィンチャー監督らしい暗くて重厚なトーンが、1960〜70年代のアメリカの空気をリアルに感じさせてくれました。
街の風景、新聞社のざわめき、刑事たちの疲れ切った表情など、細部まで丁寧に作り込まれていて、まるでその時代に迷い込んだような気持ちになりました。
特に、ゾディアックが最初にカップルを襲うシーンは、静かすぎるほど静かで、それが逆にとても怖かったです。
銃声が響いた瞬間、心臓がギュッと締めつけられるような感覚になりました。
登場人物たちの執念にも圧倒されました。
新聞記者のグレイスミスは、最初は好奇心から事件に興味を持っていましたが、途中から「ここまできたら引き返せない」という狂気じみた執念に変わっていきます。
刑事のトスキも、犯人を捕まえられない苛立ちや絶望感が伝わってきて、観ているこちらまで「どうか決定的な証拠が出てきてほしい!」と祈るような気持ちになりました。
しかし、この映画の最大の特徴は、結局「犯人が捕まらない」というところです。
普通のミステリー映画なら「実はこの人が犯人でした!」とスッキリさせる展開がありますが、この映画にはそれがありません。
途中で「この人物が犯人なのでは?」と思わせるシーンはいくつかありますが、決定的な証拠がないため、誰も逮捕されません。
それがまたリアルで、映画なのに現実を見せられているような感覚になりました。
最後の方では「このまま終わってしまうのでは…?」と思っていたら、本当にそのまま終わってしまいました。
普通なら「え、これで終わり?」と不満に思うかもしれませんが、この未解決感こそが映画の魅力なのだと感じました。
ゾディアック事件が実際に起こったことを考えると、映画を観終わったあともずっと考えてしまいました。
暗号は本当に解読されたのか?
犯人は今もどこかで生きているのか?
映画では答えが出ないまま終わりますが、それがかえって現実の事件の恐ろしさを引き立てていました。
観終わった後、ついゾディアック事件のことをネットで調べてしまいました。
フィクションなら観終わったらすぐに忘れてしまうかもしれませんが、この映画は「この事件、まだ解決していないんだ」と突きつけてくるので、長く心に残りました。
派手なアクションやスリル満点の展開を期待して観ると、少し物足りなさを感じるかもしれません。
しかし、じわじわとした不気味さや、事件の謎に引き込まれる感覚を味わいたい人には、ぜひおすすめしたい映画です。
スッキリしないのに、強く印象に残る。そんな不思議な魅力のある作品でした。
まとめ
映画『ゾディアック』は、実際に起きた未解決の殺人事件を基にした非常に魅力的な作品です。
映画では、犯人を追い詰める登場人物たちの姿が描かれ、観客は事件の真相に迫ろうとする過程を楽しむことができます。
しかし、実際の事件の真相は未解決のままであり、その点において映画は非常に忠実にリアルさを再現しています。
映画と現実には多少の違いがありますが、実際のゾディアック事件の謎は今なお解明されていません。
そのため、この映画を観た後も、事件の真相について考えさせられることが多いです。
実際の事件の未解決部分がどこまで本当なのか、映画を通してその神秘性に迫ってみるのも面白いかもしれません。
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