映画「グッドフェローズ」は、1990年に公開されたマーティン・スコセッシ監督のクライム映画です。
実際の事件や人物を基にしたストーリーが展開され、リアリティのある描写が話題になりました。
ギャング映画の名作として知られ、ロバート・デ・ニーロ、レイ・リオッタ、ジョー・ペシといった豪華なキャストが登場します。
この映画は単なるフィクションではなく、実際にニューヨークのマフィア社会で生きた人物たちをモデルにしています。
ヘンリー・ヒルをはじめとする登場人物は、どのような背景を持つ実在のマフィアだったのでしょうか。
映画と現実の違いを交えながら解説していきます。
映画「グッドフェローズ」解説
「グッドフェローズ」は、実在したギャング、ヘンリー・ヒルの半生を描いた映画です。
原作は、ニコラス・ピレッジによるノンフィクション「Wiseguy」で、この本を基に映画が制作されました。
物語は、ヘンリー・ヒルが12歳でギャングの世界に足を踏み入れ、犯罪に手を染めながら成功を収めていく過程を描いています。
映画の魅力は、ギャングの世界を美化するのではなく、リアルな側面を描いている点です。
派手な生活や仲間との絆だけでなく、裏切りや暴力、麻薬、警察の追跡といった厳しい現実も浮き彫りにされています。
こうしたリアリティのある描写が、多くの映画ファンを魅了し続けています。
キャスト
- ヘンリー・ヒル:レイ・リオッタ
- ジェームズ・“ジミー”・コンウェイ:ロバート・デ・ニーロ
- トミー・デヴィート:ジョー・ペシ
- カレン・ヒル:ロレイン・ブラッコ
- ポール・“ポーリー”・シセロ:ポール・ソルヴィノ
- 少年時代のヘンリー:クリストファー・セロン
- ミッキー・コンウェイ:ジュリー・ガーフィールド
- スタックス・エドワーズ:サミュエル・L・ジャクソン
- フランキー・カーボーン:フランク・シヴェロ
- フレンチー:マイク・スター
- ビリー・バッツ:フランク・ヴィンセント
映画「グッドフェローズ」の登場人物は実在した?
「グッドフェローズ」の主人公ヘンリー・ヒルは、実在のマフィアの一員でした。
1943年にニューヨークで生まれ、1950年代から1980年にかけて活動していました。
幼少期からギャングに憧れを持ち、12歳の時にブルックリンのマフィア、ポール・シセロ(映画ではポール・ソルヴィノが演じるポール・シセロ)と関わりを持つようになります。
ポール・シセロの元で使い走りをしながら、次第に組織の一員として成長していきました。
ヘンリー・ヒルが関わった犯罪の中でも、特に有名なのが「ルフトハンザ強盗事件」です。
この事件は、1978年にジョン・F・ケネディ空港で発生し、600万ドル以上が奪われた未解決事件として知られています。
映画の中でも、この事件が大きなポイントとして描かれています。
映画「グッドフェローズ」のモデルになったマフィア
「グッドフェローズ」に登場するキャラクターの多くは、実在の人物をモデルにしています。
それぞれがどのような実像を持っていたのかを詳しく見ていきます。
ジミー・コンウェイのモデルになったジミー・バーク
ロバート・デ・ニーロが演じたジミー・コンウェイは、実際にはジミー・バークという人物がモデルになっています。
ジミー・バークはアイルランド系アメリカ人のギャングで、ヘンリー・ヒルと共に様々な犯罪に関わっていました。
特にルフトハンザ強盗事件では中心的な役割を果たしたとされ、その後の事件でも組織のリーダーとして暗躍しました。
しかし、仲間を信用せず、強盗に関わった者たちを次々と始末していったことでも知られています。
この点は映画でも忠実に再現されており、冷酷な一面が印象的に描かれています。
トミー・デビートのモデルになったトーマス・デシモーネ
ジョー・ペシが演じたトミー・デビートのモデルは、トーマス・デシモーネです。
映画では短気で残虐な性格のキャラクターとして描かれていますが、実際のトーマス・デシモーネもかなり暴力的な人物でした。
映画の中で、トミー・デビートがちょっとした冗談で人を殺してしまうシーンがありますが、これは実際に起こった事件が元になっています。
トーマス・デシモーネは、少しの口論でも相手を殺してしまうほど短気で、組織内でも危険視されていました。
最終的に、組織のボスたちの判断によって暗殺されることになります。
映画では、昇格の場面で殺されるという演出がなされましたが、実際には突然行方不明になり、遺体も発見されていません
ポール・シセロのモデルになったポール・ヴァリオ
ポール・ソルヴィノが演じたポール・シセロのモデルは、ポール・ヴァリオです。
ルケーゼ一家の高位のメンバーであり、ヘンリー・ヒルの師匠的な存在でした。
ポール・ヴァリオは、表向きはイタリアンレストランを経営しながら、裏では違法な活動を行っていました。
ヘンリー・ヒルにとっては父親のような存在でありながら、組織の掟に厳しく、裏切り者には容赦しない人物だったといわれています。
映画「グッドフェローズ」映画と実際の違い
「グッドフェローズ」は実話を元にした映画ですが、いくつかの脚色が加えられています。
例えば、登場人物の名前が変えられていたり、出来事の順序が調整されていたりします。
また、映画の中ではヘンリー・ヒルが完全にマフィアの一員として描かれていますが、実際には彼は正式な「メンバー」ではありませんでした。
マフィアの正式なメンバーになるためには純粋なイタリア系であることが条件とされており、アイルランド系の血を引いていたヘンリー・ヒルは「準メンバー」として活動していました。
ルフトハンザ強盗事件の違い
映画の中で大きな鍵を握る「ルフトハンザ強盗事件」は、1978年にニューヨークのJFK空港で発生した実際の事件です。
犯人たちは約600万ドルを強奪し、当時としては史上最大の現金強盗とされました。
映画ではこの事件の詳細が語られていますが、実際の事件では強奪された金や宝石のほとんどが発見されていません。
映画ではジミー・コンウェイが関係者を次々と殺害して証拠を隠滅するシーンがありますが、実際の事件でも関与者が次々と姿を消したことが知られています。
ヘンリー・ヒルの証人保護プログラム
映画のラストでは、ヘンリー・ヒルが証人保護プログラムに入り、普通の生活を送ることになります。
これも実際に起こったことですが、映画では証人保護プログラムの後の生活についてはほとんど描かれていません。
実際のヘンリー・ヒルは証人保護プログラムに入った後も、ギャンブルや犯罪に関与し、何度も問題を起こしていました。
最終的には証人保護プログラムから除外されることになります。
その後もメディアの取材を受けたり、映画の成功を利用して自身の人生について語ることが多かったようです。
映画と実話のギャップ
「グッドフェローズ」は実話を元にした映画ですが、エンターテインメント作品としての要素も含まれています。
そのため、事実に基づきながらも、ストーリーを盛り上げるために脚色された部分があります。
例えば、登場人物の関係性や性格の誇張、事件の展開のスピード感などは映画向けに調整されています。
それでも、「グッドフェローズ」はマフィアのリアルな世界を描いた映画として高く評価されています。
派手な生活とその後の転落、仲間同士の裏切り、警察の追跡といった要素は、実際のギャング社会においてもよくある話です。
「グッドフェローズ」が伝えるマフィアの世界
この映画の魅力は、マフィアの栄光と没落をリアルに描いているところです。
派手な生活を楽しんでいたギャングたちも、裏切りや法の裁きを逃れることはできませんでした。
特に印象的なのは、映画のラストシーンです。
ヘンリー・ヒルは証人保護プログラムに入り、普通の生活を送ることになりますが、それを「地獄」と感じていました。
このあたりの描写が非常にリアルで、ギャングの世界に憧れる気持ちと、その末路の対比が見事に表現されています。
まとめ
「グッドフェローズ」に登場する人物の多くは、実在のマフィアがモデルになっています。
ヘンリー・ヒル、ジミー・バーク、トーマス・デシモーネといった実在のギャングたちが関わった犯罪が、映画の中でリアルに再現されています。
実話を元にした映画を観るとき、どこまでが事実でどこからが脚色なのかを知ることで、より深く楽しむことができます。
「グッドフェローズ」は、実話を基にしながらも映画としての面白さを最大限に引き出した作品であり、マフィア映画の中でも特におすすめしたい一本です。
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