映画「博士と彼女のセオリー」を観て泣いたあと、どうしても気になってしまったのが「実際にはどうだったの?」ということ。
特にスティーヴン・ホーキングとジェーン・ホーキングの離婚の理由。
映画では美しく、静かに二人が別れるけれど、現実はそこまで穏やかじゃなかったのかもしれません。
映画「博士と彼女のセオリー」実話のスティーヴン・ホーキングとは?
1942年に生まれたスティーヴン・ホーキングは、現代物理学を代表する理論物理学者です。
ブラックホールや宇宙の起源に関する研究で知られ、著書『ホーキング、宇宙を語る』は世界的ベストセラーとなりました。
21歳のときに筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、余命2年と宣告されますが、その後50年以上も研究を続け、科学の最前線で活躍し続けました。
身体の自由を奪われながらも、声を失ってからは音声合成装置を使い、世界中にメッセージを発信しました。
知識とユーモアに溢れた彼の生き方は、多くの人々に勇気を与えてきました。
映画を通じてその一端に触れられるのは、ほんとうに特別な体験です。
映画「博士と彼女のセオリー」実話の離婚はなぜ?
観ているこちらが切なくなるような、愛のかたちが描かれていました。
出会いは学生時代、体の自由を失っていくスティーヴンをジェーンが支え続ける姿には胸が熱くなります。
時間とともに、日常も研究も介護も育児もすべてが重くのしかかっていく。
そんな中で、他の人を頼る場面が出てきます。
ジョナサンとの距離感がじわじわと縮まっていく描写には、正直なところ妙にリアルさを感じました。
無理もないよね、ってつい思ってしまう。
もちろん、スティーヴンの側にも変化がある。エレインという新しい介護者の存在も含め、関係性のズレが少しずつ積み重なっていく。
ここで重要なのは、決して誰かが「悪い」というわけではないところ。
それぞれが懸命に生きていたんだなという感覚が残るんです。
実際の離婚理由はどうだったのか
さて、映画を観終わってから気になって調べたところ、現実のホーキング夫妻の離婚は1995年。
結婚生活はなんと30年近く続いていたことになります。
ここで「映画で描かれたような円満な別れだったのか?」という疑問が湧いてきました。
実は、ジェーンの自伝『Travelling to Infinity』の中で、もっと深い感情が描かれているんですね。介護の重圧、家族としての孤独感、そして宗教観の違い。
ジェーンは信仰心のある人だったのに対し、スティーヴンは無神論者。
言葉にしなくても、価値観のズレは積もっていったのかもしれません。
さらに言うと、エレイン・メイソンとの関係が離婚の一因になったとも言われています。
映画ではあくまで「彼女が現れて、新しい人生が始まった」と穏やかに描かれていましたが、実際にはエレインとの関係は既に親密になっていたという報道もありました。
当時のニュースや伝記を読んでいると、ジェーンが精神的に限界に近かったことが伝わってきます。
実際、介護と育児と学問と…という毎日は想像以上に過酷だったに違いありません。
映画「博士と彼女のセオリー」実話と映画の違い
映画「博士と彼女のセオリー」では、スティーヴン・ホーキングとジェーン・ホーキングの関係が非常に美しく描かれていますが、実際の二人の関係には映画とは異なる深い複雑さがありました。
ここでは、映画と実際の出来事の違いについて詳しく見ていきましょう。
映画で描かれた円満な別れ
映画では、スティーヴンとジェーンが離婚に至る過程が比較的穏やかに描かれています。
ジェーンが新たな人生を歩むため、スティーヴンを見守るシーンで映画は終わり、観客に希望を残します。
しかし、現実ではこの別れはもっと感情的で、実際のジェーンの自伝に記された内容やインタビューからもわかるように、二人の間にはもっと深刻な葛藤がありました。
信仰心と価値観のズレ
ジェーンは深い信仰を持っていたのに対し、スティーヴンは無神論者でした。
この違いは、二人の関係に少なからず影響を与えたとされています。
映画ではこの点についての描写は控えめですが、実際にはこの価値観のズレが夫婦の関係に少しずつ影響を与え、心の距離を広げる要因となっていた可能性があります。
エレイン・メイソンとの関係
映画では、スティーヴンがエレインという新しい介護者と出会うことで新しい人生を歩み始めるように描かれていますが、実際にはスティーヴンとエレインとの関係がもっと早い段階で親密になっていたとされています。
ジェーンはこの事実を知り、感情的な苦しみを抱えながらも家庭を支え続けました。
そのため、映画の描写に比べると、現実の離婚はもっと複雑で感情的なものだったと感じる方も多いでしょう。
介護の重圧
映画でも描かれていたように、ジェーンはスティーヴンの介護と育児を一手に引き受けていました。
しかし、映画で描かれるように美しくバランスを取ることができたわけではなく、実際にはジェーンは限界を感じることが多かったといいます。
彼女は精神的にも肉体的にも非常に疲弊していたと自伝の中で明かしており、映画よりも重い負担があったことが伺えます。
ジェーンとジョナサン
映画では、ジェーンとジョナサンが徐々に距離を縮め、最終的に再婚する描写がありますが、この点も実際の出来事と一致します。
実際に、ジェーンはジョナサンと再婚しました。
映画が描いた通り、彼がジェーンを支え続け、最終的に二人の関係が新たな形になったことは事実です。
しかし、映画で描かれたように、すぐに二人が一緒になるわけではなく、時間をかけて関係を深めていったようです。
スティーヴンの視点
映画ではスティーヴンの感情に焦点が当てられることが多いですが、実際にはスティーヴンも非常に孤独な部分があったと言われています。
身体的な制約の中で日々を過ごし、愛する人々との関係においても複雑な感情を抱えていたことでしょう。
映画はその部分を優しく描いていますが、実際のスティーヴンの苦悩はもっと深いものであった可能性があります。
スティーヴンとジェーン、それぞれのその後
離婚後、スティーヴンはエレインと再婚します。
ですがこの関係も2006年には終わっています。
一部では家庭内でのトラブルがあったという報道もありました。
ただ本人はほとんど語らなかったため、真相はわかりません。
一方で、ジェーンも再婚しています。
相手はかつて支えてくれたジョナサン。
映画でも描かれていたあの人物です。
この事実を知ったとき、なんとなく「それでよかったんじゃないかな」と思いました。
長い間ずっと寄り添い合って、限界まで頑張って、それでも違う道を歩むことを選んだ二人。
その選択を責めることはできません。
むしろ、それぞれが自分の人生を大切にするための一歩だったのかもしれませんね。
映画はそこを美しくまとめてくれました。
でも、その裏にあったであろう葛藤や疲れ、いろんな感情を想像すると、物語の深みが増すような気がしています。
まとめ
結局、映画と実話は違っていても、それぞれに真実があるんだと思います。
映画は“物語としての真実”を語り、実話は“人間としての現実”を見せてくれる。
どちらも欠けては見えないものです。
もし映画を観て心が動いたなら、実際の出来事にもぜひ触れてみてください。
そのことで、あの物語にもっと深い意味が生まれてくるはずです。
自分自身の人生に置き換えて、あのラストシーンを思い出してみると、また違った感情が湧いてくるかもしれませんよ。
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