映画「あのコの、トリコ。」は、原作の漫画から映像化された作品で、多くのファンに愛されました。
しかし、実際に映画を観た後、原作漫画とどのように違っているのか気になる方も多いのではないでしょうか。
映画化にあたり、ストーリーやキャラクターの描写に変更が加えられているため、その違いを感じた方も少なくないはずです。
今回は、映画「あのコの、トリコ。」が原作漫画とどのように異なっているのかを中心に、映画と漫画の違いを探ってみたいと思います。
原作ファンにとっては気になる部分も多いと思いますので、実写版をどう楽しむかの参考になれば幸いです。
映画「あのコの、トリコ。」実写と原作漫画との違いは?
原作の漫画「あのコの、トリコ。」は、物語の進行がじっくりと時間をかけて描かれており、登場人物たちの心情が丁寧に描写されています。
特に、田村仁と桐山夏海の関係は、読者にとって深く感情移入できる部分が多いです。
しかし、映画版ではその描写が少し簡略化されています。
映画という限られた時間の中で、物語をテンポよく進めるために、一部のエピソードがカットされていたり、展開がスピーディーに進行するように調整されているため、漫画の持つ細やかな感情の変化を感じることができる部分は少なくなっています。
特に、田村と夏海の関係における葛藤や心の機微が省略されることが多く、やや表面的に感じられるかもしれません。
結末の違い
映画版と原作漫画で最も大きな違いが、結末の描き方です。
原作漫画では、田村と夏海の関係がどこか切なく、また読者に余韻を残す形で物語が終わります。
彼らの心情や関係は、簡単に結論が出せるものではなく、少し複雑な気持ちを抱えたまま終わるんですね。
読者はその余韻に浸りながら、登場人物たちがどう成長していくのかを想像させられるところが魅力です。
一方で、映画では結末が少しオープンエンドになり、より観客がポジティブに感じられる形で締めくくられています。
映画としてのエンターテイメント性が高く、登場人物たちの心情の葛藤をある程度整理し、希望を感じさせる終わり方になっています。
これにより、映画を観た後にスッキリした気分で終わることができるため、恋愛映画としての感動をしっかり味わいたい方には魅力的な終わり方と言えるでしょう。
キャラクターの描き方
映画では、登場人物の心情が原作漫画よりも感情的に描かれることが多く、特に田村仁と桐山夏海の描き方に違いがあります。
原作漫画では、田村はかなり控えめで内向的な性格の持ち主です。
心の中で葛藤するシーンが多く、その複雑な感情をじっくりと描写することで、読者は成長を感じ取ることができます。
特に、夏海との関係に対する不安や迷いが細かく表現されており、田村がどのように自分と向き合うのかを見守りながら物語が進んでいきます。
映画では、田村の心情が少し強調され、彼の感情がより直接的に表現される傾向にあります。
映画という限られた時間の中で、キャラクターの心情が視覚的に分かりやすく描かれるため、少し感情的な起伏が大きくなっているのが特徴です。
観客としては、彼の感情がストレートに伝わってきて、感情移入しやすくなっています。
また、夏海のキャラクターも映画では感情の表現がやや強調されています。
原作漫画では、夏海は少し謎めいた存在として描かれており、その心情を読み解くことが作品の魅力の一つとなっています。
しかし映画では、彼女の内面がより分かりやすく、感情的に描かれているため、やや表面的に感じる部分もあるかもしれません。
漫画の深みと映画のテンポ
原作の漫画では、じっくりとしたペースで物語が進行し、キャラクターたちの心情や背景に深く焦点を当てています。
特に田村と夏海の心の葛藤は時間をかけて描かれ、読者に彼らの成長や感情の変化を実感させてくれます。
漫画の持つ深みや余韻は、ページをめくるごとに感情が膨らんでいき、最後には読後感が心に残ります。
しかし、映画ではその深みが若干薄れる部分もあります。
映画という媒体の性質上、視覚的な要素やテンポ感が重要視されるため、物語がどんどん進んでいきます。
登場人物の感情の変化や心情の細やかな部分が削られ、テンポよく展開していくことによって、映画ならではのエンターテインメント性が強調されています。
この違いが、映画と漫画の大きなギャップの一つと言えるでしょう。
漫画ならではの描写と映画ならではの表現
原作漫画では、コマ割りやセリフ回し、キャラクターの表情などを駆使して、細かい心情を描写しています。
田村と夏海が何を考えているのか、どんな気持ちでいるのかを、絵とセリフで読者に伝えることができるのが漫画の特徴です。
読者はその微細な表現に共感し、物語に引き込まれていきます。
映画では、映像や音楽、俳優の演技を通じて感情が表現されるため、視覚的なインパクトが強く、直接的に感情が伝わります。
特に俳優たちの演技は、キャラクターをよりリアルに感じさせ、観客の心を動かします。
映画ならではの美しい映像や音楽が、物語に深みを与えていますが、漫画のようにページをめくりながらじっくり感情を味わうことはできません。
映画「あのコの、トリコ。」あらすじ・キャスト
映画『あのコの、トリコ。』は、白石ユキ氏の同名漫画を原作とした青春ラブストーリーです。
2018年10月5日に公開され、99分の上映時間で、G指定の日本映画です。
あらすじ
田舎で地味な生活を送っていた鈴木頼(演:吉沢亮)は、東京の芸能コースがある高校に転校します。
そこで、幼い頃から憧れていた立花雫(演:新木優子)と再会し、彼女の付き人として芸能界に足を踏み入れます。
ある日、雫のCM撮影でアクシデントが発生し、頼は代役として出演。
その姿が話題となり、彼の人生は大きく変わり始めます。
キャスト
- 鈴木頼:吉沢亮
- 立花雫:新木優子
- 東條昴:杉野遥亮
- 酒井:水上剣星
- 咲:大幡しえり
- 山田華:内田理央
- 奥井広道:古坂大魔王
- 時田可奈江:高島礼子
- 近藤啓:岸谷五朗
スタッフ
- 監督:宮脇亮
- 脚本:浅野妙子
- 原作:白石ユキ
- 音楽:吉俣良
- 主題歌:Nissy(西島隆弘)「トリコ」
映画「あのコの、トリコ。」ネタバレ感想
映画「あのコの、トリコ。」を観た後の感想は、正直に言うと、最初はちょっと戸惑いがありました。
原作の漫画を知っていたので、実写化にどうアプローチするのか気になっていたんです。
映画はかなりストレートに恋愛要素を強調していて、キャラクターたちの感情がぐいぐい伝わってきました。
まず、映画の魅力のひとつはキャストですね。
吉沢亮さんと新木優子さんの演技がとても良かったです。
特に吉沢亮さんは、鈴木頼というキャラクターを、真摯で少し不器用だけど一生懸命な感じがすごく表現していて、観ていると自然と感情移入してしまいました。
そして新木優子さんが演じる立花雫も、どこか不安定で繊細なところがありながらも、自分を貫いていく姿がとても素敵でした。
ただ、原作漫画と比べると、映画の展開は少し早かったように感じました。
特に鈴木頼と立花雫の関係が急展開するところがあり、もう少し二人の気持ちの変化をじっくり見たかったなと思う部分もありました。
それでも、映画ならではのテンポで物語が進んでいくので、飽きることなく観られました。
映画のラストは、ちょっと希望が感じられるようなエンディングでしたが、個人的には原作の方が持つ少し切ない感じが好きでした。
映画では感情がうまくまとめられていて、観ていると「幸せになってほしいな」という気持ちが強くなりましたが、原作はもっとリアルで、恋愛の終わりを含めた複雑さを感じられる部分がありました。
それでも、映画「あのコの、トリコ。」は、思わず心が温かくなるような作品で、青春時代の恋愛を描く作品としてはとても良かったです。
やっぱり恋愛ものって、心に残りますね。
まとめ
映画「あのコの、トリコ。」は、原作漫画のエッセンスをしっかりと受け継いでいながらも、映画ならではの魅力が加わった作品です。
ストーリーやキャラクターの描き方には違いがあり、特に映画ではテンポ感が強調されているため、漫画の持つ深みを完全に感じることはできない部分もあります。
しかし、映画は映像を通じて感情を伝える力があり、原作とは異なる魅力を楽しむことができました。
映画と漫画、どちらが良いかは一概に言えませんが、どちらにもそれぞれの良さがあり、観客や読者が自分の好みに応じて楽しむことができると思います。
原作のファンにとっては、映画版で描かれたキャラクターたちの新たな一面を楽しむことができるので、ぜひ一度観てみることをおすすめします。
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