映画『サヨナライツカ』は、2009年に公開された韓国映画で、中山美穂さん主演の作品です。原作は彼女の元夫、辻仁成さんによるもの。
出世欲が強い主人公・東垣内豊(西島秀俊さん)は、婚約者の光子(石田ゆり子さん)と結婚を控えているものの、彼女を心から愛しているわけではありません。
そんな豊がタイ・バンコクで出会った女性、真中沓子(中山美穂さん)に心惹かれていく様子を描いています。
映画「サヨナライツカ」解説
豊は、光子との結婚を決めて出世のために働き続けていましたが、タイに赴任した際、沓子と出会います。
沓子は一見謎めいた女性で、最初はただの遊びとして始まった関係が、次第に本気になっていきます。
豊は沓子との密会に溺れていき、光子に対して後ろめたさを感じながらも、沓子への思いを抑えきれません。
しかし、現実的な問題も立ちはだかります。
光子との結婚は豊の出世と密接に関わっているため、結婚を破棄することはできません。
沓子もまた、豊への思いが深まる中で、豊の出世欲に対する不安を抱えつつ、別れを選ぶことになります。
キャスト
- 東垣内豊(西島秀俊): 出世欲が強いが、沓子との関係で心が揺れ動く主人公。
- 真中沓子(中山美穂): 豊との関係を深めていく女性。初めは元夫へのあてつけで近づくが、次第に本気の恋に落ちる。
- 光子(石田ゆり子): 豊の婚約者で、豊の心の葛藤に無自覚でいるが、どこかで何かを感じ取っているかもしれません。
映画「サヨナライツカ」ネタバレ
出世欲が強い主人公・東垣内豊(西島秀俊)は、婚約者である光子(石田ゆり子)との結婚を控えています。
しかし、光子への愛情は薄く、彼はどこかで心を満たせない思いを抱えていました。
そんな時、バンコクへの出張中に魅力的な女性・真中沓子(中山美穂)と出会います。
沓子は初め、元夫への復讐心から豊に接近しますが、次第に本当の恋に落ち、二人は密会を重ねるようになります。
豊は沓子との情熱的な関係に溺れ、仕事の合間にも彼女に会いに行くようになり、次第に光子との結婚を後回しにしてしまいます。
しかし、豊は出世を諦めることができず、出世か愛かという選択を迫られます。
一方、沓子もまた、豊に対する愛情が深まり、彼との関係を続けたいと願うものの、豊が出世にこだわっていることを感じて苦しみます。
ある日、光子がバンコクに乗り込んできて、豊の不審な行動に気づきます。
光子は豊が浮気をしていることを確認し、沓子に会いに行きます。
光子は沓子に「豊とは別れてください」と告げ、豊に会わずに日本へ帰国します。
沓子はその後、豊に別れを告げ、二人はそれぞれの道を歩むことになります。
結末
それから25年後、豊は立派に出世し、次期社長に任命されます。
再びバンコクへ出張することになり、以前沓子と過ごしたホテルを訪れた豊は、そこで沓子と再会します。
沓子は「ずっと待っていた」と言い、豊はその言葉に心が揺れ動きます。
豊は日本に帰国後、社長の座を捨て、沓子と一緒に生きる決断をします。
再びバンコクへ向かい、沓子と静かな時間を過ごします。
しかし、次の日に再び沓子に会いに行った豊は、彼女がすでに亡くなっていることを知ります。
沓子は余命幾ばくもない状態だったのです。
葬儀もすでに終わっており、豊は深い喪失感に包まれます。
豊は車を疾走させながら、沓子との思い出を振り返り、号泣します。
オフィスに戻った後も、豊は沓子への想いが募り、窓に映る沓子の幻影に「愛してる」と呟きながら、心の中で彼女に別れを告げるのです。
映画「サヨナライツカ」原作と違い
映画では、豊が25年後、すべてを投げ打って沓子と再会しようと決意します。
情熱的な展開が描かれ、出世を捨てて愛を選ぶ姿が強調されています。
しかし、原作の豊はもっと現実的で冷静な人物です。
出世や家族を壊すことなく、沓子のことは心に引っかかりつつも、現実的に生き続ける姿が描かれています。
沓子のキャラクターの違い
映画の沓子は、豊との関係を持つことで自分を表現し、どこか奔放な印象を受けます。
ですが、原作の沓子はもっと誇り高く、魅力的な女性です。
沓子は最初は元夫へのあてつけで豊に近づき、やがて本当に愛してしまうという心情の変化が描かれています。
この点は映画ではあまり深く掘り下げられていません。
光子との関係の違い
映画では、光子が豊の浮気を知り、沓子に「豊から離れなさい」と言いに行くシーンがありますが、原作では光子は沓子のことを全く知りません。
光子は豊との結婚生活を守り続け、沓子との接触はないため、映画のような直接的な対立は描かれていません。
現実的な原作 vs 情熱的な映画
映画は豊が情熱的に沓子との再会を果たし、最終的には彼女を選ぶドラマチックな展開に力を入れています。
一方、原作はもっと現実的で冷静な描写が強調され、人物の心の葛藤も深く描かれています。
映画は派手な演出が加わる一方、原作はよりリアルで人間臭い恋愛を描いています。
映画「サヨナライツカ」感想
映画『サヨナライツカ』を見終わった後、正直、感情がかなり揺さぶられました。
物語の中で、豊と沓子の恋愛がどんどん深まっていく過程に引き込まれる一方で、結局のところ、現実的な選択をする豊に共感もできるし、少し切なくも感じました。
特に、豊が沓子と再会するシーン、そしてその後の展開に心が痛くなりました。
映画の中で、豊は25年後、出世も家庭も捨てて沓子とやり直す決意を固めるんですけど、なんだかその情熱的な行動が、現実からかけ離れているように感じました。
だって、現実の世界では、簡単に全てを投げ出すことなんてできませんよね。
豊が沓子の死を知ったときのあの号泣のシーンは、胸が締め付けられる思いでした。
でも、原作との違いを考えると、原作の豊の方がもっと現実的で、感情に流されることなく自分の立場や家族を守ろうとする姿が描かれていて、そっちの方がより共感できる気がします。
映画では、感情が先行して、少し理想的な展開に感じた部分もありましたが、原作の豊のように、心の葛藤と現実の折り合いをつけて生きる方が、人間らしくて納得できる部分もありました。
また、沓子のキャラクターも、映画では少し奔放な女性として描かれがちですが、原作ではもっと深みのある、誇り高く魅力的な女性だと感じます。
映画ではその魅力が十分に伝わりきれていない気がして、少し物足りなさを感じました。
でも、中山美穂さんの演技は素晴らしく、どんな役でも魅力的に演じていたので、その点では満足です。
全体的に、映画は非常にドラマチックで感情的な展開が多いですが、原作が持つ現実的で深い人間ドラマの部分が少し薄れてしまっていたのが残念でした。
それでも、最後まで見届けたくなる、心に残る作品でした。
まとめ
映画『サヨナライツカ』は、出世欲が高い主人公・豊と、彼がバンコクで出会った謎めいた女性・沓子との禁断の恋を描いた作品です。
豊は婚約者の光子と結婚を控えながら、バンコクで沓子と出会い、一目で彼女に心惹かれてしまいます。
彼の心の中で愛と出世の選択に悩む時間が続き、沓子との関係にのめり込んでいくものの、出世の道を閉ざすわけにはいかず、最終的に彼は光子と結婚します。
25年後、豊は再びバンコク出張が決まり、過去の沓子との思い出を振り返ります。
偶然にも沓子と再会し、彼女の死が迫っていることを知ります。
豊は沓子への未練を抱えつつ、再び彼女と過ごすことを選びますが、最終的に沓子は亡くなってしまいます。
豊は彼女を失ったことで、心に深い痛みと後悔を抱えながらも、彼女への愛を心の中で感じ続けることとなります。
映画は、豊が自分の現実的な選択と向き合わせられる姿を描きながら、愛と仕事、人生の選択に対する葛藤をテーマにしています。
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