インターネットを利用する際、私たちは常に「IPアドレス」というものを使っています。
このIPアドレスは、インターネット上でのあなたの「住所」のようなもので、ネットワーク上であなたのコンピュータやスマホを識別する役割を果たします。
でも、VPNを使ったとき、あなたのIPアドレスはどうなるのでしょうか?
この記事では、VPNを使うとIPアドレスがどう変わるのかについて、初心者にもわかりやすく、実際の例を交えて解説していきます。
「IPアドレス」とは?
まずは「IPアドレス」について簡単におさらいしましょう。
IPアドレスは、インターネット上での識別番号です。
これにより、インターネットのサイトやサービスがあなたのデバイスを認識し、通信をやり取りすることができます。
あなたがウェブサイトを訪れたり、オンラインショッピングをするたびに、あなたのデバイスはこのIPアドレスを使って情報を送受信しています。
IPアドレスには大きく分けて、IPv4(バージョン4)とIPv6(バージョン6)の2種類があります。
現在は、IPv4が多く使われていますが、IPv6も少しずつ広まりつつあります。
VPNとは?
次にVPNについておさらいしておきましょう。
VPN(Virtual Private Network、仮想プライベートネットワーク)は、インターネットを安全に使うためのツールです。
すると、あなたのインターネット通信は暗号化され、インターネット接続がまるで別の場所から行っているかのように見せかけることができます。
VPNを利用すると、以下のようなメリットがあります。
- プライバシー保護: 自分の本当のIPアドレスを隠し、VPNサーバーのIPアドレスを使うことができます。
- 地理的制限の回避: 特定の地域に限定されているコンテンツ(動画配信サービスなど)にアクセスできるようになります。
- セキュリティの強化: 公衆Wi-Fiなど、セキュリティが不安なネットワークを使用しても、通信内容が暗号化されて安全になります。
VPN接続前と後のIPアドレスの変化
それでは、VPNを使用したときにIPアドレスはどう変わるのでしょうか?
次の表を見てみましょう。
VPN未接続時 | VPN接続時 | |
---|---|---|
実際のIPアドレス | あなたのインターネット接続元(自宅や会社など)のIPアドレス | VPNサーバーのIPアドレス |
位置情報 | あなたの実際の場所(自宅やオフィスなど) | VPNサーバーの場所(他の都市や国など) |
セキュリティ | 通常のインターネット接続 | 高度な暗号化で通信が保護される |
追跡 | あなたのIPアドレスからの追跡が可能 | VPNサーバーのIPアドレスが表示され、追跡が困難 |
実際にどうなるのか?
例えば、あなたが日本に住んでいて、インターネットに接続している場合、あなたのIPアドレスは「日本国内のもの」として認識されます。
この状態で、例えばウェブサイトにアクセスすると、サイトはあなたのIPアドレスを見て、あなたがどこにいるのかを大体把握することができます。
ところが、VPNを使って接続すると、あなたのIPアドレスはVPNサーバーのものになります。
たとえば、VPNサーバーがアメリカにある場合、あなたのインターネット接続元は「アメリカ」として認識されるわけです。
このように、VPNを使うことで、インターネット上での自分の「足跡」を隠すことができます。
VPNでIPアドレスを変更するメリット
VPNを使用してIPアドレスを変更するメリットは非常に多岐にわたります。
以下で、これらのメリットをさらに詳しく解説していきます。
プライバシーの保護
インターネットを使う際に最も重要な点のひとつが「プライバシー」です。
私たちはウェブサイトを閲覧したり、オンラインショッピングをしたりすることで、個人情報や行動パターンがインターネット上に残ります。
これらの情報は、広告業者や企業がターゲット広告を出すために利用されたり、追跡ツールによって収集されて、後で分析されることがあります。
VPNを使うことで、あなたの本当のIPアドレスを隠し、代わりにVPNサーバーのIPアドレスを表示させることができます。
これにより、あなたがアクセスしたウェブサイトやサービスはあなたの実際の場所や身元を追跡することができなくなります。
例えば、広告会社があなたの行動パターンを追跡して、あなたに関連する商品を広告として表示することが難しくなります。
さらに、VPNサーバーのIPアドレスを利用することで、あなたのインターネットの足取りがわからなくなり、個人情報の漏洩を防ぎやすくなります。
自分のデバイスがインターネット上で「どこにいるのか」を他人に知られたくない場合、VPNを利用することでプライバシーを保護できます。
例えば、あなたがウェブサイトを訪れた際、そのサイトが「あなたは東京からアクセスしています」という情報を得たとします。
VPNを使って接続すると、その情報は「サーバーがアメリカからアクセスしている」と表示されることになります。
これにより、実際の位置が隠され、追跡が困難になります。
地理的制限の回避
VPNを使用する大きな理由の一つに「地理的制限を回避できること」があります。
これは、インターネット上の多くのサービスが、ユーザーがアクセスしている国や地域に基づいてコンテンツを制限しているためです。
例えば、NetflixやYouTube、Hulu、BBC iPlayerなど、国ごとに視聴できるコンテンツが異なります。
これらのサービスは、視聴者がどの国にいるのかをIPアドレスをもとに判断しています。
VPNを使うと、サーバーが設置されている国に自分の接続元を変更できるため、特定の国でしか見られないコンテンツにもアクセスすることができます。
例えば、日本にいながらアメリカのNetflixライブラリを見ることができるようになります。
これにより、制限されたコンテンツを視聴したり、他の国のウェブサイトやサービスを利用することが可能になります。
また、YouTubeなどでも、地域限定の動画やコンテンツがあるため、VPNを使うことで、アクセスできないコンテンツを自由に楽しむことができるようになります。
セキュリティの強化
VPNは、単にIPアドレスを変更するだけでなく、通信内容を暗号化するという大きなセキュリティの利点を提供します。
特に公共のWi-Fiネットワークを利用する際には、この機能が非常に重要です。
公共のWi-Fiはセキュリティが弱く、悪意のある第三者があなたの通信を傍受したり、ハッキングを試みたりすることが可能です。
VPNを使うと、通信が暗号化され、あなたのデータが第三者に見られることがなくなります。
これにより、ハッカーや悪意のある第三者からあなたの個人情報やクレジットカード情報などが盗まれるリスクを減少させることができます。
特に、カフェや空港、ホテルなど、公共のWi-Fiを使う際にVPNを利用することで、セキュリティ面で大きな安心を得ることができます。
また、VPNによってIPアドレスが隠されることで、通信の追跡が困難になります。
たとえば、オンラインバンキングやショッピングをする際、VPNを使うことで、あなたのIPアドレスが悪用されるリスクが低減します。
公共のWi-Fiネットワークを使用する場合、インターネット上の通信が暗号化されていないため、近くにいる誰かがあなたのパスワードや個人情報を盗み取ることができます。
しかし、VPNを使って通信を暗号化すれば、万が一誰かがあなたの通信を傍受しても、内容を解読することは非常に困難になります。
また、オンラインでの活動履歴が第三者に追跡されにくくなるため、オンラインでのプライバシーも守られます。
これは、特に金融取引や重要な個人情報をオンラインでやり取りする場合に非常に重要です。
VPNを選ぶ際のポイント
VPNはあなたのインターネット接続を安全に、また便利に使うためのツールですが、適切なVPNを選ぶことで、より快適に利用することができます。
ここでは、選ぶ際に重要なポイントを順を追って解説します。
接続速度
VPNを利用する際に最も気になるポイントの一つが「接続速度」です。
VPNを使うと、通信が暗号化されるため、通常のインターネット接続よりも少し遅くなることがあります。
この遅延(ラグ)は、特にストリーミングやオンラインゲームをする際には気になる点です。
速度が遅いと、動画が途切れたり、ゲームのラグが増えたりして、快適にインターネットを使うことができなくなります。
そのため、VPNを選ぶ際には、速度が安定していて高速なサービスを選ぶことが重要です。
多くのVPNプロバイダーは、接続速度のテスト結果や、サーバーのパフォーマンスを公表しています。
これらの情報を参考にし、自分が使用したい用途に最適なVPNを選びましょう。
サーバーの場所
VPNを使用する大きな理由の一つに「地理的制限の回避」がありますが、これは接続できるサーバーの場所によって大きく影響されます。
例えば、アメリカのコンテンツを視聴したい場合、アメリカにあるサーバーに接続しなければなりません。
VPNプロバイダーによって提供されるサーバーの場所は異なります。
選ぶ際には、自分がアクセスしたい地域のサーバーがあるかどうかを確認しましょう。
例えば、NetflixやYouTubeのコンテンツを地域ごとに楽しみたい場合、特定の国にサーバーがあるVPNサービスを選ぶと良いでしょう。
プライバシーポリシー
VPNを使用する主な目的の一つが「プライバシーの保護」です。
VPNは、あなたのインターネット通信を暗号化し、IPアドレスを隠すことができますが、VPNプロバイダーがどのようなログを保持しているのかについてもしっかり確認する必要があります。
もしVPNサービスが接続ログや使用ログを保存している場合、万が一そのデータが漏洩したり、第三者に渡ったりする可能性があるため、プライバシーが保護されません。
プライバシーを重視する場合は、ログを保持しないノーログポリシーを採用しているVPNを選ぶと良いでしょう。
料金
VPNには無料サービスと有料サービスがありますが、無料VPNは注意が必要です。
無料VPNは一見お得に見えますが、速度やセキュリティに問題があることが多いため、特に重要な通信をする場合には向いていません。
無料VPNはしばしば広告を表示したり、データを第三者に販売したりすることもあります。
一方、有料のVPNサービスは、速度やセキュリティ、サポートが安定しており、信頼性が高いことが多いです。
料金が発生する代わりに、より多機能で安全にインターネットを利用できます。
多くの有料VPNは、長期契約で割引を提供しているため、コストパフォーマンスを重視する方にとっては良い選択肢です。
追加機能とサポート
VPNを選ぶ際には、追加機能やサポート体制も確認しておくと便利です。
例えば、特定のデバイスやオペレーティングシステムでの利用に対応しているか、同時接続できるデバイス数が十分かどうかなどです。
また、何かトラブルが発生したときに、24時間対応のサポートがあるかどうかも重要なポイントです。
信頼性のあるカスタマーサポートを提供しているVPNサービスは、問題が発生した際に素早く解決してくれます。
まとめ
VPNを使用すると、インターネット接続時のIPアドレスが変更され、あなたの本当の位置や情報が隠されます。
これにより、プライバシーの保護やセキュリティの強化、地理的制限の回避などが可能になります。
VPNの利用は、特に公共Wi-Fiや個人情報を守りたい場合に非常に有効です。
VPNを使ってIPアドレスを変更し、より安全で快適なインターネットライフを送るために、自分に合ったVPNサービスを見つけることが大切です。
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